令和8年7月2日
会員各位
一般社団法人 日本病院薬剤師会
会長 武田 泰生
医薬情報委員会
委員長 萱野 勇一郎


ピボキシル基を有する小児用抗菌薬の投与に関連した
重篤な低カルニチン血症・重篤な低血糖症に係る「使用上の注意」の改訂等について
(PMDAからの医薬品適正使用のお願い(No.17)公表)



 令和8年6月30日付で、厚生労働省医薬局医薬安全対策課長より日本製薬団体連合会安全性委員会委員長宛に「医薬品の「使用上の注意」の改訂について」(別添1)が通知されました。あわせて、医療現場への注意喚起をより徹底するため「PMDAからの医薬品適正使用のお願い(No.17)」(別添2)が公表されています。
 今般の改訂は、ピボキシル基を有する小児用抗菌薬(セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物、セフジトレン ピボキシル、セフテラム ピボキシル、テビペネム ピボキシル)を対象とし、電子添文の「8.重要な基本的注意」に、小児(特に乳幼児)においてこれらの薬剤の投与後に低カルニチン血症に伴う重篤な低血糖、痙攣、脳症等を起こすおそれがある旨が新たに記載されるものです。これらの薬剤の使用する必要性を含め、薬剤の選択や投与期間等については最新のガイドライン等を参考とし、痙攣・意識障害等の低血糖症状が認められた場合には速やかに医療機関を受診するよう家族等に指導することが求められています。
 ピボキシル基を有する抗菌薬による小児等の重篤な低カルニチン血症・重篤な低血糖症については2012年以降繰り返し注意喚起がなされてきましたが、近年も同様の副作用報告が継続しており(2019年4月〜2026年5月に副作用等報告データベースへ登録された症例)、中には死亡等の重大かつ不可逆な転帰に至った報告も認められます。また、長期投与に限らず投与開始翌日に重篤な低血糖を起こした報告妊娠後期における妊婦の服用により出生児に低カルニチン血症が認められた報告もあります。なお、これらの薬剤の電子添文の「9.7小児等」では、血清カルニチンが低下する先天性代謝異常であることが判明した場合には投与しないこととされています。
 会員の皆様におかれましては、患者の安全確保を最優先とし、各施設にて以下の対応をご検討いただけますようお願い申し上げます。

【検討いただきたい対応事項】

 また、対象薬剤を採用している施設のみならず、持参薬として持ち込まれる可能性を考慮し、全ての医療機関において対応が求められます。別添資料をご確認の上、関係者への速やかな周知および当該医薬品の適正使用の徹底をお願いいたします。
 なお、「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」で提供される情報は、これまでに既に電子添文などで記載されて、適正使用をお願いしてきているにもかかわらず、副作用被害救済給付申請症例や副作用報告症例等で同様の事象が繰り返し見られている事例などについて、医療従事者等に対して安全に使用するために注意すべき点などを図解等を用いてわかりやすく解説し、医療従事者の方に適正使用の更なる徹底に努めていただくことを目的に作成されたものです。

【対象薬剤 (国内で販売されているピボキシル基を有する小児用抗菌薬)】
一般名略号販売名(例)
セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物CFPN-PIフロモックス小児用細粒100mg 他
セフジトレン ピボキシルCDTR-PIメイアクトMS小児用細粒10% 他
セフテラム ピボキシルCFTM-PIトミロン細粒小児用20%
テビペネム ピボキシルTBPM-PIオラペネム小児用細粒10%
※妊婦の服用により出生児に低カルニチン血症が認められた報告もあるため、ピボキシル基を有する成人用抗菌薬についてもご注意ください。

(参考)
・PMDAウェブサイト>安全対策業務>情報提供業務>医薬品>注意喚起情報
<医薬品の適正使用等に関するお知らせ>PMDAからの医薬品適正使用のお願い
https://www.pmda.go.jp/files/000281371.pdf

・日本小児科学会薬事委員会「ピボキシル基含有抗菌薬の服用に関連した低カルニチン血症に係る注意喚起」(2019年7月)
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20190820pivoxil_chuikanki.pdf


別添1:医薬品の「使用上の注意」の改訂について(令和8年6月30日付厚生労働省医薬局医薬安全対策課長通知)

別添2:PMDAからの医薬品適正使用のお願い(No.17)「ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児等の重篤な低カルニチン血症、重篤な低血糖について(続報)」